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社会貢献
社会福祉法人は、社会福祉事業法 第6章社会福祉事業 第22条で、この法律において「社会福祉法人」とは、社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。とされ、更に第24条で、社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。とされている。
極ごく簡単に言ってしまえば、福祉事業は本来なら国が行わなければならない事業になるのだが、国に代わって社会福祉法人なるものを創って、国に代わって実施するというものであり、それならば国の税金もそこに入れられるという仕組みである。かつては「主たる担い手」としてではなく、もっぱら福祉事業を「独占してきていた」のであるが、ここにきて介護事業や障害者福祉に民間の株式会社やその他の団体も入ってこられるようになっている。規制緩和ということか、あるいは福祉事業を独占してきた弊害が大きくなってきたためだろうか。確かに、社会福祉法人は福祉事業を「確実に」行っては来たが、「効果的」であったか、また経営基盤の強化を図り、経営の透明性を確保してきたかと問われたら、何と答えようか。所轄の役所に対しては業務内容の報告や経営状況の報告はしてきているが、肝心の税金を払っている人たちに対する報告やPRは皆無といっていいほどしてきていない。そこは問われるべきである。
が社会福祉法人はこれまで社会貢献なるものを行ってこなかったのだろうか。

そも、社会貢献とは? 社会貢献とは法人または団体、個人による公益、公共益に資する活動一般のことである。つまり社会の利益に資する行いをするということ。しかし、どのような活動を指すのかについての明確な価値判断の基準は無いようである。
社会福祉法人はもともと公益、公共益に資する活動を行うために造られた組織であるはだし、社会の利益に資する活動以外は出来ないはずの組織ではなかったのか。

株式会社が提供する福祉事業、例えば介護事業などは、利益が見込めなくなればそのまま施設ごと、入所者ごと売りに出されるのである。契約した会社とは別会社に丸ごと売却されて、入所者は契約違反だともいえない状況におかれる。会社が変わるということは、施設の中身も変わるということだと思う。それが本来の福祉事業であると言えるのだろうか。
社会福祉法人は事業を途中で投げ出すこともしないし、利益が見込めない事業も数多く実施している。それが社会福祉法人の使命であり、本来の姿なのである。

今さらに社会貢献を!と言われるのはいささか心外である。少なくとも地域の中にしっかり根付いている法人は既に様々な地域貢献を行っているであろうし、私たちも地域密着型法人としての自負を持っているはずである。そして何よりも、働くことを主としている施設は、地域経済の活性化にも十分に貢献しているはずであり、それは様々な地域で実証されているはずである。





 
【2015.11.19 Thursday 17:47】 author : 長谷川 淺美
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